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京都恋文物語

2022/06/12 06:21:42

     おはようございます。
昨晩の雨から一夜明け、目を覚ましたお日様はまだ眠そうでした。これから頭がすっきりとしてさらに明るい陽射しとなっていくのでしょう。
 6月12日の今日は「恋人の日」です。
欧米諸国では、恋人同士や夫婦の間でこの日が祝われ、お互いに贈り物をするそうです。

  日本でも、ジューンブライドやプロポーズの日(第1日曜)など、結婚にまつわるLOVEな記念日が多い6月です。
ふたりが思いを遂げるまでには、きっとさまざまな形で気持ちを伝え合っていたのでしょう。
 また思いの伝え方も、時代によっていろいろであるだろうことが何だかとても興味深いです。
京都は古くから和歌や手紙文化が発展し、恋文の逸話がたくさん残っているそうです。

 男女が顔を合わせられなかった平安時代。意中の人に思いを伝えるのは、五七五七七の31音からなる和歌でした。
教養やセンス、人柄が表れる和歌。文面からの相性を確かめるのは、LINEやインターネット上のやりとりにも通じると思います。
男女とも和歌のうまさがモテる条件のひとつでした。
恋多き美男子、在原業平は恋のかけひきの歌をたくさん残しています。

 また、和歌に秀でた絶世の美女といわれた小野小町は、多くの男性から思いを寄せられていました。
小町が晩年を過ごした随心院には、送られてきた恋文を供養して埋めたと伝わる文塚があります。
この文塚には恋文上達、文章上達などのご利益があるそうです。
ここは、恋文ゆかりの地ともいわれています。

 さらに、新撰組副長の土方歳三は、花街の女性から人気が高く、数多くの恋文をもらっていたようです。
モテた証拠としてその恋文をまとめて冊子にし、モテ自慢のために、東京の親戚に送ったそうです。
新撰組の宿所となった八木家は、京都市中京区にあります。ここで土方歳三はにんまりと手紙を読んでいたのでしょう。

 現代にも、恋文がモチーフになっている京都生まれの作品があります。
気持ちを伝えるため文通武者修行をする京都の大学院生の手紙で構成された小説「恋文の技術」。
京都アニメーション制作のテレビアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、恋文の代筆を通じてさまざまな愛を語る物語です。
また、京都で交わされた2組の著名な夫婦のラブレターが本になっています。
熱烈な恋にドキッとしたり、赤裸々に描かれた青春時代に驚いたりと、まるで恋愛小説のようです。

 いちずな思いを伝える恋文は、和歌、手紙、メール、SNSと時代とともに手段も変わってきました。
ただ、伝えたい思いをどのような言葉にしたらいいのかという悩みはいつの時代も同じですよね!
「好き」という気持ちを伝えるため、ひとつひとつの言葉を選びながら、何度も何度も書き直しながら、出だしの一言が思いつかず一行も書けないことをもどかしく思いながら、そんな時間も「あなたに恋してる」といえるのではないでしょうか。

「溢れくる 思いを文に したためて
         天翔けてゆけ 我が恋語り」

 今日も、よい一日をお過ごしください。





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