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北湖にて

2022/07/27 05:31:04

  おはようございます。
今日は昼から雨が降るようです。
雨が降るのは、何だか久しぶりのような気がします。
傘を持っていくのは面倒ですが、少しは涼を感じることができるといいなと思いました。

 昨日は、限りなく透明で美しい自然の神秘に魅了され、長い歴史のなかで育まれた奥深い郷土料理を味わいました。
北国街道として栄えた滋賀県の長浜です。
そこには、いつもと違う琵琶湖がありました。
果てしなく拡がる大海原のようでした。
ピュアな青い水面が風に揺れながらキラキラ光り、微かに笑みを浮かべているようでした。
南湖では見られない北湖の美しさがここにありました。

 長浜市周辺の湖北地方に伝わる郷土料理に、「焼鯖そうめん」があります。
鯖を甘辛く炊き込み、その出汁で茹で上がったそうめんを軽く炊いて、そうめんの上に炊いた焼き鯖を盛り付けるというものです。
 お昼の会席料理の一品として、家庭料理のような見た目も映えない焼き鯖そうめんが出てきました。
この地味な料理にかなりトーンが下がりましたが、これがまたとても美味しくて懐かしい味わいがしたのには驚きました。
出てきた数々の料理の中で、一番の美味だったように思いました。

 焼き鯖そうめんが郷土料理となった理由には、「五月見舞い」という湖北地方独特の習慣に由来しているという説があります。
「五月見舞い」とは、農繁期である5月に農家へ嫁いだ娘を気遣って、嫁ぎ先に焼き鯖を届けるという習慣のことです。
長浜は若狭湾に近いこともあり、鯖はとても身近な食材だったそうです。
また焼き鯖そうめんは、客人をもてなすハレの日のご馳走でもあったみたいです。

 焼き鯖そうめんは、娘を思いやる親の愛、お客さまへの心を込めたおもてなしの郷土料理として、ここ長浜で代々伝えられてきました。
今でもその味はたくさんの人に愛され、お店にもそれぞれの味が受け継がれています。
その土地ごとに伝わる郷土料理とは、地元の歴史や人々のくらし、気候や風土などのさまざまな要因が重なり、心を込めて作られ続けて形になって表れたものだと思いました。

 その営みをずっと見つめてきた琵琶湖は、今いったい何を思っているのでしょうか。
もしかしたら、外来魚に生態系のバランスを崩されていることを悲しんでいるかもしれません。
またもしかしたら、人間による環境破壊に心を痛めているかもしれません。
さらさら吹く風に、水面が少し波打っているようでした。
琵琶湖の心の叫びのようにも見えました。

 今日も、よい一日をお過ごしください。

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