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マスクがつくる匿顔

2022/08/03 06:01:33

 おはようございます。
昨日、埼玉県熊谷市では気温41℃に達するという予報でした。
これまでの国内最高気温41.1℃をいよいよ更新かと注目されていましたが、そこまでには至りませんでした。
でも更新していたとしたら、どうびっくりしたらいいものやら複雑な気持ちです。
どこもかしこも、相変わらずの酷暑ですから。
 
 熱中症に対する警戒が強まっていますが、マスクははずせません。そのマスクのおかげで匿名ならぬ「匿顔」という言葉が、今、注目されています。
マスクで顔を隠すことに慣れてしまって、見せるのが恥ずかしいという心理のことです。
コロナ禍でマスクが当たり前になり、耳慣れぬ言葉が浸透しているのかもしれません。
この「匿顔」は、小学館の「大辞泉」から新語の月間賞に選ばれました。

 「勝手に新奇な言葉を拵えることは慎むべきだ」と、谷崎潤一郎は文章の入門書として執筆した著書の中でいっています。
ですが、SNS等から発生した造語や新語は、日常の会話で普通に使われ、広辞苑にも新たに登録されるようになってきました。
その反面、辞書にはありますが今ではもう聞かなくなった言葉もあります。
造語や新語は、時代とともに移ろうということをしみじみと感じました。

 「全然、大丈夫!」「全然、OKです」という発言をよく耳にします。
今では自然に出てきますが、以前はとても違和感がありました。
「全然」と前につくと、後に続くのは「全然、足りません」などの否定形ではないかと。
ですから、文法上おかしい日本語は使ってはいけないと思い、あえて「全然、問題ありません」と頑なに答えていたことがありました。 

 確か、アナウンサーの方もテレビの番組で同じようなことを言っていたと記憶しています。
 ところが、いつの頃のことか忘れましたが、時代を遡って調べてみると、「全然」という言葉の後に、肯定形が続く文例もあったそうです。

 また、彼女が「この服似合う?」と聞くと、彼氏は「全然!」と答えるのも若い世代では当たり前のようです。
答える相手によったら、怒られてしまいそうなやりとりですが、「似合ってるよ」という意味になるのだそうです。
先に述べた「全然、大丈夫!」というのを省略しているらしいです。

 書く機会が減り、打ち言葉や話し言葉、またはその略語が造語や新語として世に認められるようになってきました。
時代を映す鏡のように、新語や造語はつぎからつぎへと生まれています。
生き残るものもあれば、すぐに忘れ去られてしまうものもあります。
生き残るために必要なこと、それは簡潔明瞭で人の心に響くことではないかと思いました。

 「匿顔」は、簡潔明瞭ではありますが、定着することがないよう願っています。

 今日も、よい一日をお過ごしください。

 

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