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大行満大阿闍梨

2022/08/23 05:52:45

  おはようございます。
朝夕のちょっとした涼しさに、秋の気配を感じる今日この頃です。

 先日、「積極果敢」と書かれた書をいただきました。
何点か並べられているなかから好きなものをといわれ、迷わずこれを選びました。
「積極果敢」という前向きな言葉自体も好きですが、激しさと柔らかさが同居したような筆の運びにも惹きつけられたからです。

 この書は、もうお亡くなりになられましたが、比叡山延暦寺の酒井雄哉大阿闍梨が書いたものでした。
酒井雄哉大阿闍梨は、千日回峰行を2度満行された方です。この荒行を2回満行した二千日回峰行者は、織田信長の比叡山焼討以降約450年間で3人しかいません。
また千日回峰行を達成されたほとんどの方が30代であったにもかかわらず、酒井大阿闍梨の2度目の満行は60歳でした。
もちろん、最高齢です。

 いったいどんな方なのか知りたくなり、酒井大阿闍梨の「一日一生」という本を読みました。そこには、こんなことが書かれていました。
「なぜ2度も千日回峰をされたのですか」と聞かれて、「何もすることがなかったんだ」と答えたんだ。「これだ」と思ったことを繰り返しやればいい。何も変わらないようにみえても、自分自身は新しくなっている。一日だって同じ日はないしな。今日の自分は今日でおしまい。明日はまた再生される。
だから、何万キロといわれても、昨日と同じことを繰り返しやっただけ。

 ひのき笠をかぶり、白装束に草履ばき。比叡山中の二百数十ヶ所を巡拝しながら、回峰行者はひたすら歩きます。
同じコースでも、自然は日々刻々とその表情を変えて行きます。
自然と一体になりながら、自分の心と向き合いながら、ひたすら歩く日々とはいったいどのようなものなのでしょう。

 余分なものがひとつひとつ削ぎ落とされ、剥き出しの心が自然と直接触れ合い、同化していくような感覚ではないかと思いました。
 「積極果敢」の書にも、回峰行を満行した後の「今あるがままの心」が表れているようでした。

 今日も、よい一日をお過ごしください。

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